「美味しいの原点を探して」幸後綿衣|vol.2 職人技で削る!「かんぴょうができるまで」(栃木県)
かんぴょうは、年に一回しか加工のチャンスがない!
農家さんにアポイントメントをとる時に驚いたのが、「7月に作業するから7月に来て」と言われたこと。
え、かんぴょうって年に一回しか収穫できないの?
私は勝手に、「かんぴょうは一年中つくられているもの」だと思っていたんですね。
でも実際は、7月頃に夕顔を収穫し、実を細長くむいて、洗濯物のように一本一本干して乾燥させる。その限られた時期につくられたものを保存し、農家さんが問屋さんへ納めていました。



皮をむいて、洗濯物のように干していきます
「矢野かんぴょう」は、問屋として複数の農家さんのかんぴょうを扱っています。いわば、かんぴょうのセレクトショップのような存在。それぞれの農家さんが育てたものを見極め、「矢野かんぴょう」として全国へ届けているのです。
そこで実際に畑や加工の様子を見せてもらって、「なるほど!」と腑に落ちたことがありました。
かんぴょうは夕顔の実の外側からむいていきます。果物にも硬い部分とやわらかい部分があるように、一つの実の中でも繊維の質が違う。その違いが、乾燥した後の食感や炊き上がりの違いにつながっていたんです。
毎日炊いていて感じていた「今日は少し違うな」という感覚には、ちゃんと理由がありました。
そして、年に一度しか加工しないのなら、そのタイミングでお願いできることがあるんじゃないか、と考えました。
私がお願いしたのは、「私のためだけのかんぴょう」をつくってもらうこと。
できる範囲で一番厚くむいてほしい、とお願いしました。そして、「食感のいい部位を選んで袋詰めしてほしい」とも伝えさせていただきました。
厚くむけば乾燥にも時間がかかり、カビのリスクも高まるので、生産者さんにとっては決して楽なお願いではありません。
それでも何度か試作を重ねてもらい、「これだ」と思えるかんぴょうができました!
今、お店で使っているかんぴょうは、そのオーダーメイドのものです。年間で必要な量を最初にお願いし、その年につくっていただいたものを一年かけて使っています。
後から聞いたのですが、そんなオーダーをした寿司職人は私が初めてだったそうです(笑)。産地へ行ったからこそ見えたことがあり、現場で知ったからこそ生まれた一つの答えでした。
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