歯科衛生士を「稼げる職業」に。女性がキャリアを諦めない道へ
働く権利は自らの手で掴んでいく「やりたいことをやる人生」

――杉野さんの理念に「やりたいことをやる人生」とありますが、どんな想いを込めた言葉なのでしょうか。
歯科衛生士が守っているのは人々の健康です。患者さんも健康であれば、やりたいことができる人生になります。そういった方を一人でも多く増やすためにも、まず私たちが「復職」という夢を叶え、やりたいことを自由にやっていける人生にしましょう、という想いを込めました。
会社のメンバーには、同時に「同じ“自由”でもフリーダムとリバティは違うよ」という話もしています。フリーダムというのは制限や束縛がない自由で、リバティは自分で目標を決め、やるべきことをやった上で社会的に認められた権利がある自由。「様々なことをクリアしながら、目標達成をして、やりたいことを叶えましょう」と伝えています。
――昔から行動力があったのでしょうか?
いえ、わりと引っ込み思案で、みんなの前で喋ることは苦手でした。親が言うには、意志が固いというか、人には流されない子だったと。表立って自分の意見を言うわけではないけれど、一度決めたら絶対にやるみたいな感じではあったから、そこが表に出せるようになったのかもしれません。
――何か打ち込んだものは?
高校時代はマクドナルドのアルバイトを頑張っていました。働きによって階級が上がっていったので、そのトップを目指して。勉強はあまり得意じゃなかったですね。ただ興味を持ったものには研究心が働くと言いますか。たとえば好きな詩人の詩を暗記して、その人が生まれた土地に行くとか、そういうマニアックなことはやっていました(笑)。
――お友達からとかはどういった感じの性格と言われますか?
「なんかいろいろやってる人」と言われています(笑)。まったく歯科と関係ない、お洋服屋さんをやってみたり、当時ハマっていた、お皿に絵付けをするポーセラーツのインストラクター資格を取り、釜まで買ってお家でお教室を開いたこともありました。
じつはまたアパレルをやり始めていまして。忙しい朝に何も考えずに来ていけるように、全身コーディネート済みのものを提供しています。
――素晴らしい! まさに「やりたいことをやる人生」ですね。
「私にはやりたいことがない」という声もいただくんです。自分が衝動を抑えられない性格なので、どうしてなんだろう?と耳を傾けてみると、その裏には「主婦だから」「子どもがいるから」「年齢があるから」という声が出てくるんです。「やりたいことがない」のではなく、あきらめているだけなのかも、と。

――そういった女性には、どのようなアドバイスを?
いろんな制約や条件は一旦無視して、大きくても小さくても「やってみたいことを書き出してみましょう」と伝えています。20個ぐらい書き出すと、「これならできそうかな?」っていうのが見えてくるんですよ。そうしたら次は、それをいつまでにやるかを決めます。すると、夢が目標になります。その成功体験の積み重ねが、心を豊かにしてくれるんですね。私も迷走した時は、同じことをやっていて。それが会社の指針につながったり、新規事業のアイデアが生まれたりしています。
―― あまりお仕事とプライベートを切り離さない?
よく「ワーク・ライフ・バランス」と言いますが、私は「ワーク・アズ・ライフ」なタイプ。たとえば海外旅行に行ったら、必ず現地の歯科医に行くんです。行き先のエリアに衛生士さんいないかな〜ってインスタで探して、DMして。こないだもタイの衛生士さんにアポを取って、クリニックを見学させてもらいました。意外とフランクに「おいでよ!」って言ってくれるんですよ。行った先でのベーシックは日本のベーシックとどう違うかなど、ヒントをもらったりしています。
――日本と海外では、歯科衛生士の地位やポジションは異なりますか?
違いますね。アメリカの歯科衛生士は社会的地位も年収も高くて、なりたい職業のトップテン入りするぐらい認知度が高いんです。歯科に対する国民のリテラシーがそもそも高いのですが、それが衛生士のあり方にも出てるなっていうのは、実際に行ってみて感じられました。男性衛生士も多いんですよ。日本ではどうしても「先生のお手伝いをするお姉さん」みたいなイメージを持たれることが多いのですが、向こうはとってもプロフェッショナル! パキッとした白衣を着て颯爽と現れる。こういった体験をみんなにシェアすることで、「もっと自信を持っていいんだよ」「私たちは価値のある存在なんだよ!」と伝えています。
――人々の健康を守ることができる、本当にすばらしい資格です。
ありがとうございます。歯科って、予防ができる数少ない医療なんです。患者様にはもっと積極的にクリニックを活用していただきたいですし、衛生士にも「私たちがみなさんの健康を守っているんだ」という高い志を持ってほしいと思っています。
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