中郡暖菜の“かわいい”の哲学〜新しい女性の生き方を生み出す思考【vol.2 そのかわいいは誰のため?】
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本の中でくらい、女の子だけの世界があっていいと思う

――LARMEのコンセプトは「甘くて、かわいい♡ 女の子のファッション絵本。」です。“絵本”という言葉が印象的ですが、なぜこの言葉を選んだのでしょうか?
「情報がメインのファッション誌ではなく、眺めて楽しめるような、世界観重視、ビジュアル重視の本にしたかったんです。表紙も、部屋に飾りたくなるようなものにするというのが、最初からテーマとしてありました。だから、絵本かなと思ったんです」
――そのLARMEの世界観を守るために、これだけは絶対に曲げないと決めていることはありますか?
「誌面に1人も男の人がいないっていうことですね。世の中には男の人がいっぱいいるから、あらゆる場面に男の人がいることで、女の子が大変……そんな社会の構造が色々とあるじゃないですか。それについては、女の子が常に考え、戦っていることだと思っているんです。私はずっと、中学、高校、大学と女子校育ちで、女性ファッション誌の仕事に就いてからも、女だらけの世界でずっと生きています。そういう女の子だけしかいない状況っていうのが、私にはすごく居心地がよくて。だから本の中にそういう世界があってもいいじゃないかと思っているし、現実感がなくてもいいかなと。たとえ有名なメンズのハリウッドスターがLARMEに出てくれるって話が舞い込もうとも、断っちゃうかなと思います(笑)」
――LARMEの読者との関係性は、ほかの媒体と比べても熱量が高いと感じます。その理由はどこにあると思いますか?
「クラスに20人いたとして、LARMEのかわいさが好きな子って、たぶん4〜5人ぐらいかなと思うんです。昔は2人ぐらいだったのが、少しずつ増えてきたかなという実感はありますけど、やっぱりメインストリームではないと思っていて。でも、だからこそ結びつきが強い。王道の世界、たとえばコンサバだったりカジュアルやシンプルなお洋服が好きな人は、似た雑誌やSNSがいっぱいあるから、特定の1冊にだけ熱狂することって、そんなにないじゃないですか。その点LARMEは趣味を極めた人に向けて作っているので、おのずとエンゲージメントが高くなるんじゃないかと思います。私はLARMEの読者に、“これは私のための本だ”って感じてもらえるよう、その子のためだけを思いながら本を作ります。そうすると、大勢の人たちには伝わらなくとも、当人や同じ感覚を持つ子には絶対に伝わる。そうやってターゲットを絞り込むことで、熱量が上がるんだと感じています。全員に向けて作ると、逆に誰にも刺さらないということが起こりがちですから」
“かわいい”に自然体は不要。徹底的にビジュアルを作り込む
――“かわいい”のセンスは人それぞれですが、中郡さんにとっての“かわいい”を言語化するとしたら、どんな表現になりますか?
「ビジュアル至上主義、という感じでしょうか。外見、つまり第一印象がものすごく大事で、パッと見た瞬間に印象的なものが、かわいいものだと思っているんです。ルッキズムと揶揄されそうですが、そういうことではないんですよ。自然体が好まれがちな世の中の風潮に逆らいたいというか、私はやっぱりソリッドに、キメキメに作り込まれているかわいさが好き。たとえば、サンリオのキャラで私が一番好きなマイメロちゃんは、ピンクのうさぎにリボンでそもそものかわいいが過多。かわいさ=ビジュアルを大事にしている感が他のキャラより強いように感じるんです。キティちゃんやハンギョドンとかは、幅広く好かれるよう、ときにはデザインのテイスト自体を変えていたりします。そういった歩み寄りが、マイメロちゃんには見られない。”かわいい”の一辺倒で、絶対に自分のピンク色を変えない頑なさには、職人気質すら感じます。一見ダークキャラのように振る舞っているクロミちゃんよりもずっと、実は誰にもなびかない孤高な存在のマイメロちゃん。私も自分が思う“かわいい”だけをひたすら目指しているので、シンパシーを感じます」
――中郡さんご自身も、周囲に迎合することなく、自分が思う“かわいい”を貫くタイプということですね。そのこだわりは、仕事ではなくプライベートでも変わらないのでしょうか?
「そうですね。とある野外フェスに行ったとき、人気バンドのボーカルの方がラフなTシャツにグレーの帽子をかぶっていて。ライブが進むにつれて、汗でその帽子の色が下から上に徐々に濃くなっていったんです。あまりにも気になりすぎてそれをずっと見てしまうし、できれば、スターは汗なんかかきません、みたいな方向性でいてほしかった(笑)。それまでL’Arc~en~Cielのライブにしか行ったことがなくて、そちらではみんな、バリッとおしゃれしてくる人ばかりだったのでライブではおしゃれするのが普通だと思っていて、野外フェスもそのつもりで行ったら全然違ったっていう……。ライブには動きやすい靴で行くものなんだなという有益な知識を学んだものの、自分の美意識は大事にしたいところです」
――中郡さんにとっての“かわいい”の基準は、ずっと変わらないものなのでしょうか? それとも、時代やトレンド、ご自身の年齢に伴って変化していますか?
「変わらないですね。創刊当時のLARMEを今見返しても、すっごくかわいいですよ。そもそもスタッフさんも私自身も、全然変わっていないんです。出ているモデルの子たちは、もちろん世代交代がありますけど、LARMEで表現していることや目指すゴールは、創刊時から一緒。“かわいい”の基準を時代に合わせて変えていこうとか、そういう気持ちは全然ないんですよ。時代がこちらに寄せていただけると大変嬉しいです(笑)」
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