りな日記 vol.7

7月4日(土)

アイスが食べたくてサーティワン。レギュラーサイズのダブルを頼むと想像以上に大きかった。そういえばいつもはスモールサイズを食べていた。久しぶりすぎて忘れてた。私が食べたのはラブポーションサーティワン。声に出して読みたい日本語。冷房の効いた店内が涼しくて、日常の中の平和ってこんな感じかなとぼんやり思う。

 

7月5日(日)

日曜日。曇り空で蒸し暑く、気分もなんだか晴れない。仕事詰めの日々だったので日曜くらい外に出ようと思い、理由もなく家を出て、惰性で入った喫茶店の狭い席で大きすぎる味噌カツパンを食べている最中、数日前の撮影中にタレントさんが教えてくれた切り餅のことをふと思い出す。お店の場所を調べてみると今いる地点から電車で数駅だった。閉店時間まであと1時間。急いで会計を済ませて電車に飛び乗り、小さな菓子店へと向かう。

そのお店は本当に小さな、いわゆる「地元の菓子店」だった。10個入りで売られていた切り餅を買うと、ずっしり重い。しかし決して固くはなく、マシュマロのようにふわふわしている。固くない餅を初めて見た。

せっかく見知らぬ土地に来たので駅前を散策。通りすがりに入った雑貨屋さんで、真鍮で作られたネックレスを作家の方から買う。下半期の私のお守りにする。会計後に店内を見ていると、先ほどの作家さんの奥様がワイヤーで作ったという雑貨が目に入る。そのうちのひとつが妙に気になり、買ってしまった。その名も「虫逃がし棒」。布団たたきみたいな形、虫網の「網」の部分が無いような形をしている。網の代わりに袋をかければいいとのこと。予告もなく突然来訪する虫に困ったときに作ったものだという。生活の中で生まれた発明だ、と感銘を受ける。ちょうど虫網が欲しかったから嬉しい。

帰宅して、蒸し暑い家の中で餅を焼く。トースターでうまく焼けずにいると、夫が電子レンジを使って繊細に秒数を定めて加熱してくれた。大きく膨らむ餅を見ていると不思議な気分。夏なのに。餅は冬のものではなかった。生まれて初めて餅をおいしいと思った記念日。

 

 

文・写真:佐々木里菜

Profile

佐々木里菜

佐々木里菜

写真家。1991年宮城県仙台市生まれ。スタジオ勤務や写真家の弟子を経て2019年より商業写真家として活動する傍ら、2020年より日記を中心とした文筆活動を細々と行う。主な著作に『ロイヤル日記』(2024年)、『料理未満日記』(2024年)、『近く訪れる彗星』(2025年)など。夜の散歩と植物と疲れている日にわざわざつくる料理が好き。

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