「美味しいの原点を探して」幸後綿衣|vol.3こだわり抜いた最高級を! 「理想の海苔を求めて」(広島県&九州)

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海苔の不作、その背景にあるもの

海苔って、当たり前のようにスーパーなどに出回っているように思えるかもしれませんが、実は近年、海苔の不作が続き、入札価格や店頭価格も高値が続いています。国内有数の産地である有明海でも、その背景には海を取り巻く環境の変化があるそうなんです。

大きな要因のひとつが、海中の「栄養塩」の不足です。

海苔の生育には窒素やリンなどの栄養が欠かせませんが、プランクトンが大量発生すると、それらを先に消費してしまいます。

そうなると海苔は十分な栄養を得られず、黒々とした色を保てない「色落ち」が起きてしまいます。

さらに深刻なのが、海水温の上昇。秋になっても水温がなかなか下がらず、海苔の種付けを始められる時期が遅くなってしまいます。また、本来なら冬に活動が鈍るアイゴやチヌなどの魚も活発なままで、育った海苔を食べてしまう「食害」も問題になっているそうです。

雨が少ないことも関係していて、山や森に降った雨は川を通じて栄養を海へと運びます。その雨が減れば、海に届く栄養も少なくなってしまうんですね。

つまり海苔づくりは、海だけの問題ではなく、山から川、そして海へとつながる環境全体と深く関係しています。

佐賀県などの主要産地では種付けの時期を遅らせるなど、環境の変化に合わせた対策も進められていますが、海の環境そのものが大きく変わりつつある今、これまでの経験だけでは対応しきれない難しさもあるようです。

身近な食卓に並ぶ一枚の海苔ですが、その裏側では今、変わりゆく海と向き合いながら、海苔づくりを未来へつなぐ模索が続いています。

Profile

幸後綿衣

幸後綿衣

1989年6月30日、徳島生まれ、福岡育ち。高校進学と同時に上京。上智大学卒業後、すし職人を目指し「すし匠」「西麻布拓」「鮨 あらい」10年にわたり修行。2018年には1年間フランスに留学しソムリエ資格を取得。2019年「鮨 あらい」に復帰し、鮨を握ったり、煮物、汁物の味付け全般を任せられるように。2020年から2番手として腕を振るう。2023年11月独立、麻生十番に「鮨 めい乃」をオープン。

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