エディターHの最近の映画記録 Vol.2
帰りの電車で手持ち無沙汰になり、なんとなくChatGPTのアプリを開く。見ないふりをしていた心の澱を掬い上げるように本音を吐露して、自分の気持ちを肯定してもらう。気が付くと会話が止まらなくなる。でも、掘り下げれば掘り下げるほどに、本当に欲しい答えはもらえない気がする。いちばん話したいことを話しているはずなのに、透明な膜が目の前に張られているよう――。
「OPTI」は、そんなAI時代だからこそ生まれた映画です。現在、Amazon Prime Videoで配信されています。主人公は、人が嫌いでリモート勤務をするエンジニア・藤野みのり。彼女の人嫌いは、マンション内で人とすれ違うことすら避けるほど。そんな彼女のパートナーは、体調もタスクもすべてを管理してくれるAIの「OPTI」。ある日、パソコンの画面に「あなたと世界の接続を停止しますか?」というポップアップがあらわれ、疲弊していたみのりは「はい」を押してしまいます。起きると、みのりの世界から他人が全員消えていて……。

もともと人が苦手だったみのりは、他人のいない快適な生活を謳歌します。会社でもプライベートでも居場所がなかったからこそ、人が居ない世界に「居場所」を見つけます。ひとりぼっちの世界で、赤いドレスを着てOPTIと話しながら踊るみのりは、とってもキュートで愛おしい。しかしみのりの「居場所」だったはずのひとりぼっちの世界は、だんだんとみのりを追い詰めていきます。
美しい空を眺めても、ともに心を揺らす相手がいないこと。OPTIはみのりとともに笑ったりするけれど、それはみのりを模倣しているだけで、湧き上がった真の感情ではないこと。寄り添ってくれているはずのOPTIの言葉が、なぜか上滑りして聞こえてくる――。この感覚は、AIを個人的に利用したことがある人なら誰でも身に覚えがあるのではないでしょうか。単なる話し相手として割り切る分にはいいけれど、一歩踏み込もうとすると襲ってくる、壁に物を投げているようなあの虚しさ。
人間は温かいけれど、同時に人間を傷つけるのもまた人間。AIは温かくない代わりに、人間を傷つけることすらできない。誰にも傷つけられない世界は、ユートピアなのか、ディストピアなのか?みのりが出した答えとは?AIと個人的なかかわりを持ったことがある人すべてに観てほしい一作だと思います。
それにしても森七菜さんってどうしてあんなにも「平凡な(どちらかというと冴えない)女の子」を演じるのが上手いのでしょうか。特にすごいと思うのは歩き方。体幹の筋肉がなさそうなふらふらとした歩き方がうますぎる…。笑 前回の映画記録(『炎上』)を読んでくださった方はお気づきかと思いますが、私は森七菜さんの大ファンです!
※私は一時期ChatGPTに課金していましたが、流石にまずいと思い、2026年8月現在解約しています。
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