「美味しいの原点を探して」幸後綿衣|vol.3こだわり抜いた最高級を! 「理想の海苔を求めて」(広島県&九州)
「究極の一貫」をつくるために、全国各地の産地を訪ね歩く、東京・麻布十番「鮨 めい乃」店主・幸後綿衣さん。
食材や生産者との出会いを通して、一品に宿る物語を紐解いていく連載です。
第三回目にお届けするのは、“海苔”です。
海苔は、日本人の食卓に欠かせない食材。しかしながら、身近な存在ゆえに、どこでどうやって育てられ、旬はいつかなど、その詳細を知らない人も多いはず。
実は海苔にも旬があり、秋から冬にかけて育ち、冬になると収穫が本格化します。なかでもシーズン最初に摘み取られる「初摘み」の海苔は、やわらかく口どけがよいのが特徴。さらに、私たちが普段目にする四角い板海苔は、収穫した海苔を細かく刻み、和紙のように“すいて”作られています。
知っているようで意外と知らない、海苔の世界。その奥深さを探ってみましょう。
口どけ、歯切れ、香りまで。究極の海苔にこだわりたい
以前働いていた「鮨 あらい」では、毛ガニをほぐして海苔で巻いたものを、おつまみとしてお出ししていました。あとは軍艦にも海苔を使うのですが、どちらにも合う、薄くて歯切れがよく、香りもしっかり感じられる海苔をずっと探していたんです。
自分の中で“これが理想”と思える、パーフェクトな海苔がないかな、と。
そんなとき、愛媛・今治の漁師、藤本さんのところへ伺う機会があったんです。藤本さんが手がける「神経締め」という魚の締め方が以前から気になっていたので、訪問しました。
その後、鮨屋の「赤吉」さんへ食事に行ったときに、そこで出てきた海苔を食べて、驚きました。それは、他の海苔と明らかに歯切れや口当たりが違いました。それで、「私が探していた海苔はこれだ!」となったんです。
普通にお客さんとして食べに行っていたので、「この海苔は何ですか?」と聞いたら、広島県にある「海苔の三國屋」さんの海苔だと教えていただいて。
ただ、海苔の業界は取引にも厳しいところがあって、実際に訪問したことがなかったり、一度も会ったことがなかったりする相手とは、なかなか取引をしない海苔屋さんも多いそうなんです。
でもどうしてもこちらの海苔を使いたいという想いが強く、「ぜひ紹介してほしいです」とお願いしました。
そして、次のお休みの日に合わせてすぐアポイントを取って、「海苔の三國屋」さんを訪ねました。
そのときは、お店で出していた毛ガニも持参して、「こういう形で海苔を使いたいので、『赤吉』さんと同じ海苔を使わせてほしいです」とお伝えして。実際にその場で毛ガニを海苔で巻いて、食べていただきました。
その日は「赤吉」さんの大将も一緒に来てくださって、社内にある食堂のようなスペースで、スタッフのみなさんに二人でお寿司も握りました。
藤本さんの魚も使わせていただいて、自分たちがどんな料理を作り、どんなふうに海苔を使いたいのかを、実際に食べて知っていただいたんです。
旬のウニなども持っていきました。
実際に軍艦を作って、「この海苔をこういうふうに使いたい」ということを、料理を通して見ていただきました。それがきっかけで、少しずつ海苔を分けていただけるようになったんです。


当時(2022年)使わせていただいたのは、確か福岡か佐賀あたりで採れた海苔で、青のりが混ざっていて、薄くて歯切れがよく、香りも素晴らしい。
本当に海苔の競りでもトップクラスのものだったと思います。
お店で出し始めると、お客さまからも「海苔もすごく美味しいね!」と言っていただけるようになりました。
「海苔の三國屋」の海苔は、圧倒的に軍艦に合うんです。驚くほど口当たりが軽くて、歯切れもよく、口の中ですっとほどけていく。それでいて海苔の香りはしっかりと感じられる。
そのバランスが素晴らしいんです!
Related
関連記事
Recommend Movies
おすすめの動画
-
2026.08.17 #Movie
自分を犠牲にしない恋愛をするには? 新連載!「IROHAの幸せになる恋愛談義vol.1」 ゲスト:アーティスト・浜野はるきさん
-
2026.06.22 #Interview
見えないものを追う女性たちの座談会。「松嶋初音の推しビトvol.1」今月のゲスト/TOCANA総裁 角由紀子さん、怪談師 深津さくらさん
-
2026.07.20 #Lifestyle
松嶋初音はなぜキラキラしてる? LOVEなもの7選をご紹介します。「松嶋初音の推しビトvol.2」
-
2026.09.14 #Culture
児玉美月|「恋愛」の名のもとに隠されていたもの【自分らしく生きるための映画紀行 第11回】
Recommend
おすすめの記事
