“見えてしまう”宿命に向き合いながら、仕事も子育ても楽しむ松嶋初音さんから学ぶポジティブマインド

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幼少期から霊感体質に悩み、一時は自身の体験を語ることを封印していた松嶋初音さん。しかし、実体験に基づいた真摯な語り口が反響を呼び、今や怪談は彼女を救い、多くのファンに支持される表現活動となりました。

プライベートでは、お笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろうさんの妻であり、今年1月に出産を経験したばかりの新米ママ。今回の取材現場にもベビーカーに愛らしい赤ちゃんを乗せて現れ、育児と仕事を軽やかに両立させる姿を見せてくれた彼女。

壮絶な心霊体験をエンターテインメントへと昇華させるほどポジティブなマインドは、どこからくるのでしょうか? 子育てをとおして自分自身を「育て直している」と語る彼女の生き方に迫ります。

心霊は私にとって逃げたかった存在であり、自分を救ってくれた存在

——初音さんは幼少期から不思議なものが見えていたそうですね。その体質を自覚されたのは、いつ頃だったのでしょうか?

2歳の時ですね。母の入院を機に一時的に預けられた児童施設での出来事が最初でした。その施設に見学に行った時、庭で子どもたちが円になって遊んでいたんです。多分、スイカ割りをしていたのだと思うのですが、まわりにいた施設の職員の後ろに、その人とまったく同じ動きをする真っ黒な人影が見えて。それがすごく怖くて、「怖い、怖い」ってずっと言っていたのを覚えています。

後日、その児童施設に入ることになって、ある日の夜ふと目を覚ますと、隣に寝ていた男の子が誰かに首を掴まれて持ち上げられていたんです! 男の子の手足がブラーンとなっている様子が月明かりに照らされて、血がポタポタと落ちていて……。首を掴んでいる人こそが“真っ黒な人影が見える”職員でした。

――その恐ろしい光景は、夢ではなく現実の出来事だったのですね……。

はい。そこからは記憶が途切れ途切れなのですが、私が驚いて声をあげたことで施設中が大騒ぎになって、救急車や警察が来たのを覚えています。

5歳になった頃でしょうか。母にその話をすると「覚えているの?」と驚かれたので、あれは夢ではなかったんだなと思いました。

それと、中学生の時に仲良くなった転校生が偶然にも同じ施設出身の子で、「あの施設は虐待で摘発されて、もうなくなったよ」と教えてくれたんです。その言葉を聞いて、やっぱりすべて現実だったのだ、と。おそらく、その真っ黒な人影は職員に取り憑いていた何かだったのではないかな、と。それが私の最初の恐怖体験です。

——その後も日常的に不思議な体験をされていたのですか?

そうですね。当時はそれが特別なこととは思わず、みんなも同じように不思議なものが見えていると思っていました。通学路でも、「あのベランダや電柱の陰にはいつも人が立っているから、あそこは見ちゃいけない」と、自分の中で“見てはいけないエリア”を決めていたんです。

でも、どれが「生きている人」でどれが「そうじゃない人」か区別がつかないんですよ。街を歩くと当たり前に人とすれ違うのと同じ感覚で色々な人が視界に入ってくるので、とにかく気にしないことを徹底していました。

 

——見えすぎて困ることはありませんでしたか?

ありましたね。保育園の時、友達が転ぶ姿が見えてしまって「今日転ぶから気をつけてね」と親切心で友達に教えたんです。すると本当に転んでしまい、その子の親からは「おまじないで呪いをかけた」と言われたこともありました。

別の友達の家に泊まりに行った時も、その子のおじいちゃんの胸が真っ赤に見えたので「何で胸が真っ赤なの?」と聞いてしまったんです。そのおじいちゃんは末期癌で在宅医療中だったので、友達は「誰にも言ってなかったのに!」とビックリしていました。

母からは「あなたにしか見えないものだから人に言ってはダメだよ」と言われて、私自身はこの体質をどう理解するべきか、ずっと悩んでいましたね。

——実際に聞き手の変化を感じられました?

昔は「グラビアで売れなかったから怖い話で売れようとしている」といった中傷もありましたが、今は実体験に対してリスペクトを持って怪談を聞いてくれる方ばかりですね。

それまでは怖くて嫌だった体験を自分で受け止めるしかなかったのですが、人に伝える場が出来たことで気持ちが楽になりましたし、聞いてくださった方にエンターテインメントとして面白がってもらえることで、私自身の心も救われました。

「あなたにとって心霊とは何ですか?」と聞かれることがよくあるのですが、心霊は私にとって逃げたかった存在であり、自分を救ってくれた存在でもあるんですね。

昔は“見える”ことで辛い思いもしましたし、知りたくない出来事を知ってしまう体質を嫌だなと思っていましたが、過去の体験があったからこそ、今の私に興味を持ってくださる人がいる。亡くなった方の話を扱うからには、体験や不思議なお話に対して尊敬の念を忘れないことを心に留めながら、怪談を語るようにしています。

 

Profile

松嶋初音

松嶋初音

1987年11月13日生まれ。東京都出身。夫はお笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろう氏。高校時代に「ミスマガジン2004」で審査員特別賞を獲得し、グラビアデビュー。2006年には連続ドラマ初のレギュラーとして「アキハバラ@DEEP」で“イズム”役を演じる。幼少期から心霊体験や不思議な経験を繰り返し、自身のYouTubeチャンネル「はつねちゃんねる」での怪談の発信が話題に。アパレルブランド「Hatsunex」のプロデュースを始め、ゲームやガジェットへの造詣も深く、ジャンルを横断してマルチに才能を発揮している。

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