「二度と作れない作品じゃないと、世界に持っていけない」鈴木綺麗の人生を変えた“渋谷”の今を切り取ったカルチャーアートブック、誕生

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「きぃーちゃん」「きぃぃりぷ」の愛称で親しまれる、モデル・鈴木綺麗さん。渋谷でスカウトされたことをきっかけに『egg』モデルとしての活動をスタートし、現在はモデルやインフルエンサーだけでなく、メイク講師やタレントとしても活動しています。そんな綺麗さんが、著者・演者として挑んだ初の書籍は、渋谷カルチャーにフォーカスしたアートブック『タイトル未定』。その撮影の舞台裏と、一冊に込めた思いを、鈴木綺麗さん本人に聞きました。

 

若きクリエイターとともに挑んだ、今しか作れないカルチャーアートブック

ーー今回の渋谷カルチャーアートブックは、どんな一冊になりそうですか?

今の渋谷を、そのまま一冊に閉じ込めたような本になりそうです。一緒に渋谷で一日過ごしたらこういう感じだよね、みたいな。渋谷ってどんどん開発されているけど、綺麗な場所だけじゃないし、うちはそういう場所も魅力の1個だと思ってたので、全部入れたかったんです。それに、メイクも衣装もこだわっていたら、撮影した2日間とも長時間の撮影になりました(笑)。ちゃんと一冊の撮影をやり切ったという達成感もあります。二度と作れない作品じゃないと、世界に持っていけないと思っているので。このメンバーで今の渋谷を撮れたことも含めて、今しか作れない本になったと思います。ずっと読み継がれる本にしたいと思って、全部にこだわりました。

ーー綺麗さんにとって、渋谷はどんな街ですか?

日本のギャルカルチャーの発祥地であり、常に新しいカルチャーを生み出し続けている街だと思います。最初からプロフェッショナルな人だけが来るというより、いろんな人が集まって、ここでプロフェッショナルになっていく街というか。私も16歳で109の今はなき「SBY」という場所でスカウトされて、そこから人生が変わったので。何者でもない状態で飛び込んでも、誰かと出会ったり、新しい何かが始まったりする。渋谷はそういうパワーを持った街だと思っています。

ーー2日間の撮影は、かなりハードでしたか?

本当にずっとタイトでした。最初の撮影は始発から夜中までで、次の撮影は昼から始発まで撮っていました。集合から解散まで1日20時間超えです(笑)。朝日の渋谷から夜中の渋谷まで、表の渋谷も裏の渋谷も、日中の顔も夜の顔も、全部入れたくて。もう、カメラのシャッターが止まらないくらい、ずっと撮っていました。スタッフだけじゃなく、センター街にいるリアルな渋谷の人たちにも自ら声をかけて、撮影に協力してもらったんです。突然のお願いなのにバイクを貸してくれたりして。まさに気合でみんなでやり切った感じでしたね。「伝説の本にするぞ」っていう熱が全員にあって。写真を撮る人や雑誌を作っている人が見たときにも、「こういうふうに撮ったら可愛いね」とか、「こういうものを作ってみたい」「この写真をリファレンスにしたい」って思ってもらえる本になりたいですし、読んでくれた子が渋谷に来て、思わず真似して撮りたくなるような構図をみんなで考えたりもしました。現場にいた全員の熱量がそのまま乗っかっていると思います。

ーー今回はなんと最年少18歳のスタッフも参加しているんですね。あえて若いクリエイターたちとチームを組んだのはなぜですか?

若い自分たちだから見える渋谷を切り取りたかったんです。でもそれぞれのスタッフはやっぱり何かで「渋谷」を通っているんですよね。18歳のカメラマンとは、渋谷の美容室の撮影で知り合ったり。出身も経験も全然違うみんなが集まって撮影しているときに、なんか「うちらの時代になってきたな」って思いました。うちが全部作ったというより、みんなが自分のプロフェッショナルな部分を持ち寄ってくれたから完成した感じです。

ーー綺麗さん自身も、スタッフ集めやディレクションに深く関わったんですか?

自分で声をかけたり、信頼できる人を集めたりしました。初めて一緒に仕事をする人もいたんですけど、私が作りたいイメージを全部インプットして、それぞれにアウトプットしてもらった感じです。2度とできないものにしたかったから、自分だけのノウハウでは回らないと思って。だから、それぞれが得意なものをちゃんと持っている人たちに集まってもらいました。みんなが、この本で何かを表現したいって、本当に頑張ってくれていて。お互いにリスペクトがあるチームだったと思います。

国境も時代も超えていく。今の渋谷を刻んだ一冊

ーーずっと読み継がれる本にしたいというのは、自分のファン以外にも知ってほしいということですか?

なんか、「うちだから、この本を買おうかな」って思われたくなかったんですよ。もちろんうちのことを好きな人もいて、買ってもらえたらそれはすごく嬉しいですけど、綺麗のことを知らない人もいるし、ギャルが好きじゃない人もいるじゃないですか。いろんな人に手に取ってもらうためには、「私です」ってやりすぎるとダメだなって思ったんです。たまたま映っているモデルが自分なだけで、基本的には渋谷を撮っている、というイメージにしたくて。うちは、今の渋谷を切り取るための被写体でいいと思っていました。

ーーヘアやメイク、ファッションも、シーンごとに大きく変えていますね。

渋谷にいる、いろんな女の子になりきるという意味でヘアもメイクも変えました。”ギャルだから渋谷に行かなきゃいけない”とか、”ギャルじゃないけど渋谷に行ってもいいのかな?”みたいなものもなくしたかったから、今回は全然違う職業やクリエイターにもなっています。「何者でもなくても来られる街、渋谷」って、よくないですか?だからモデルとしてメイクやファッションにこだわる部分とは別に、キメ顔の写真だけじゃなくて、本当に友達を呼んで、自然な顔も撮りました。仕事をしているときだけじゃない、オフのときの私の顔も切り取られましたね。カメラマンさんもテンションを合わせるために飲んで、自分も短い時間で四、五杯くらい飲みました(笑)。ゴミに寄りかかって酔っ払い風のシーンも撮ったり、とにかくやれることは全部やった感じです。

ーー雑誌の撮影とは、どんなところが違いましたか?

1冊をゼロから作ることですね。『egg』にはある程度の型があって、その企画に沿って準備をして。自分でゼロから作るページがあったとしても、数ページだったりするので。でも今回は、1冊全部を本当にゼロから作りました。だから、何ひとつ「まあ、いいや」って適当な返事はできなかったです。撮影でも、全身頭のてっぺんからつま先まで、ちゃんと仕上がったと思ってから、スイッチを入れてロケバスから出る、みたいな感じでした。今までの雑誌の撮影でも、あれくらい長時間で、何体も着替えて撮ることは、あまりなかったと思います。

ーーこの本を、どんなふうに楽しんでもらいたいですか?

写真を真似して撮ったり、渋谷に来るきっかけにしてもらえたらなと。エッセイでは、ありのまま心情を載せています。私は自分のこれまでの話を、あんまり綺麗にまとめすぎたくないんです。そのほうがラフでいいじゃんって思うし、そこが自分にしかないところだと思っているので。だからそれを見た人が何かを感じ取ってくれたり、誰かに薦めたくなったりする本になったらいいなと思います。ページを見て、「渋谷に行きたい」って思ってもらえたら、うれしいです。渋谷でタピオカ買ったら人生変わった女なんで(笑)。

ーーこの1冊に込めた思いを教えてください。

何事も、やり切ることが大事だと思っています。今は1回しかないから、悔いが残らないところまでやる。この本は、私にとって人生の節目になる一冊です。何年かたって振り返ったときに、「あのとき、この本をマジで頑張ってよかったな」って絶対に思えるように、ちゃんとやり切りました。うちは自分の中に、ポジティブな自分もネガティブな自分もいて、そのときに一番必要な自分を引っ張り出してくるんです。「いけるっしょ」って乗り切る自分もいれば、反骨精神でやり切るときもある。学校にもまともに通えなかったし、“普通”がよくわからない性格だったけど、自分なりに必死に生きてきた24年間の今の自分が、すべてを注ぎ込んでやりきった本です。だからこそ、これが渋谷という街の可能性や、日本のギャルカルチャーが世界へ広がっていくきっかけになったらうれしいですね。海外の人たちや世界からも評価されるような作品になってほしいという想いも込めて作りました。押し付けるつもりはないけれど、読んだ人が何かを感じて前向きになれたり、「自分も動いてみようかな」って思えるようなきっかけになれたら最高です。

ーー 最後に、一言お願いします!

2度とできないくらいやり切ったので、買ってください!(笑)。

取材・文:門脇才知有 撮影:佐藤容平 スタイリング:中川愛理沙

 

予約受付中

渋谷カルチャーアートブック『タイトル未定』
著者:KIREI(鈴木綺麗)
発売:角川春樹事務所
発売日:2026年10月9日(金)
仕様:オールカラー112ページ予定
価格:未定

予約はこちらから

Profile

鈴木綺麗

鈴木綺麗

2001年8月7日生まれ。「きぃーちゃん」「きぃぃりぷ」の愛称で親しまれる、モデル・インフルエンサー・メイク講師。16歳の時に渋谷でスカウトされたことをきっかけに、モデルとしてのキャリアをスタート。復刊後の雑誌「egg」では専属モデルとして、最多表紙・最多売上を樹立し、人気No.1モデルとして活躍。令和ギャル文化を象徴する存在として、トレンドを牽引してきた。現在はモデル・インフルエンサーとしての活動に加え、メイク講師やタレントとしても幅広く活躍。Netflixの恋愛リアリティショー「ラヴ上等」への出演をきっかけに国内外から注目を集め、SNSフォロワー数が急増。現在は総フォロワー約115万人を誇る。

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