りな日記 vol.12

9月18日(金)
昨晩、父と電話でウインナーの話をした。それは「いつか里菜にウインナーの仕事が来てほしい」という理由から始まった話題で、その流れで父が好きだと言うウインナーブランドの名前をいくつか教えてもらった。スーパーで買い物をしている時に突然そのことを思い出し、勧められたうちのひとつである”香薫”を買ってみた。
お風呂上がり。ふと香薫を焼いてみたくなった。キッチンに立ち、袋から1本だけウインナーを取り出し、切り込みを入れ、鉄フライパンでじっくりと焼いてみる。暗いキッチンで電気も付けず、たった1本のウインナーと真剣に向き合うこの時間はなんだか不思議。目を離さず、じっくりじっくり焼いていく。
焼けた香薫を醤油皿に取り出し、焼き具合を観察。いい色に焼けたと思う。フォークではなくあえて箸で掴み、ひと口だけかじってみる。なるほど、これはおいしい。自分の中のウインナー観が変わる音がした。ウインナーというより、脂が乗った魚のような美味しさ。父は香薫を好きな理由のひとつに「桜のスモーク材を使用した薫製の薫り」を挙げていた。かすかに感じるその薫りの向こう側にある桜の木のことを考え、川沿いに植えられた桜の木の幹に鼻を近づけた春のことを思い出す。半年前。
9月20日(日)
大雨に閉じ込められ、散歩すらできない日曜日。せめてものお楽しみに手や指を使う料理を作ろうと思い、久しぶりにニョッキを作る。じゃがいも・強力粉・塩だけで完成するこの料理は、驚くほど簡単に出来るのに、意外と奥深く、作るたびに研究のしがいがある。特に、生地を棒状にし、適当な幅で切り、中心を指で押して窪みを作ってフォークの背を当てて溝を作る時。その調子の良し悪しで今の自分のコンディションが分かる。陶芸家の気分。今日は、まあ、悪くない。いい感じ。形成したニョッキひとつひとつを皿の上に並べ、眺めながら思う。熱湯で茹で、浮き上がってきたらお玉ですくい、適当に作ったホワイトソースにからめて食べた。振りかけた胡椒が粗挽きで、プレアデス星団みたいに光っていた。
文・写真:佐々木里菜
- Tag
- #diary
Related
関連記事
Recommend Movies
おすすめの動画
Recommend
おすすめの記事
