りな日記 vol.10

8月17日(月)

先日いただいた美しい桃を使って今日は贅沢な昼ごはんを作ると決めていた。桃とモッツァレラと生ハムの冷製スパゲッティ。元々は桃とモッツァレラだけのレシピだったはずなのに、欲張りな自分はいつのまにかそこに生ハムとスパゲッティを加え、それじゃないと満足しなくなってしまった。このためにわざわざ少しだけ高級なお気に入りのスパゲッティも取り寄せた。

数年ぶりに作った桃モッツァレラ生ハムスパゲッティは、あまりにも美味だった。「おいしい」を越えて「美味」。「美しい味」と書いて「美味」。麺を少しだけ長めに茹でた後に氷水で冷やすのがポイント。夏のよろこびを全身で感じられる料理。

 

8月25日(火)

毎日あっという間に夜になる。家から出たくなかったけれどどうしても買わなければいけないものがあり、少し離れた場所にあるスーパーへ買い物に行く。入り口すぐのところに置かれていたとうもろこしの値段を見て「今日とうもろこし安い!」と思わず口に出すと、とうもろこしを見ていた先客の上品なおばさまから「そう、今日安いの」と声をかけられた。そのまま「いつもどうやって食べている?」という雑談に発展し、おばさまは「私はいっつもかき揚げにしちゃうの。海苔の上にのせてね」と教えてくれた。私は家で揚げ物をすることに抵抗があり、かき揚げなんて作ったことがない。でもなんとなくそのレシピが気になってとうもろこしを2本買い、家で作ってみることにした。

とうもろこしのかき揚げ。約1年ぶりの揚げ物。去年唐揚げに関するエッセイを寄稿するために書いていた時ぶり。恐る恐るレシピ通りに作ってみると、思ったよりも簡単だった。そして、想像以上においしくてびっくりした。知らない人にさっき教えてもらったばかりのレシピで料理をするなんて初めて。ちなみにそのおばさまはとうもろこしを4本買っていた。私も4本買えばよかった。また会えたらお礼を言いたいけど、会えるかな?

 

文・写真:佐々木里菜

Profile

佐々木里菜

佐々木里菜

写真家。1991年宮城県仙台市生まれ。スタジオ勤務や写真家の弟子を経て2019年より商業写真家として活動する傍ら、2020年より日記を中心とした文筆活動を細々と行う。主な著作に『ロイヤル日記』(2024年)、『料理未満日記』(2024年)、『近く訪れる彗星』(2025年)など。夜の散歩と植物と疲れている日にわざわざつくる料理が好き。

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