りな日記 vol.13

10月1日(木)

昨日までの連続降雨記録は何だったのだろうというくらい、久しぶりに晴れた日。太陽の光を浴びるのが久しぶりすぎるせいか、心なしか目が痛い。穴ぐらから地上に出てきたもぐらのような気分。

家から少し遠い駅まで歩き、七輪で焼くタイプの焼肉屋でお手頃なランチメニューを食べる。少し寝不足の身体に自分の手で焼いた肉と米を入れていくと、強制的に力がみなぎるし気合いも入る。今日の店員さんは天使のように優しい人だった。本当の天使だったかもしれない。なぜなら、人間社会にあんな人がいるはずはないから。天使のいる焼肉屋。

 

10月7日(水)

少しだけ緊張する撮影を昼過ぎに終え、何も考えずにぼんやりと電車に乗り続けるといつの間にか有楽町に辿り着いた。とにかくお腹がぺこぺこだったのでいくつかお店を見てみるも、なんだかぴんと来ずにうろうろと彷徨う。仕事道具である重くて大きな撮影機材を担いで階段を何度も上り下りし、巡り巡って銀座にあるロイヤルホストの前に辿り着いた。迷ったら結局いつもここに来てしまうんだよねと思いつつ、席に通して貰うと想像以上に心がほっとした。求めていたのはこの安心感だった。

今日の私は、おそらく結構疲れていた。この1週間は毎日がとても忙しく、今日の撮影さえ終われば半日は休めるということだけを心の拠り所として生きていた。ランチメニューとグランドメニューを交互に眺め、悩みに悩んでガパオライス&グリーンカレーを注文。ドリンクバーコーナーの冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してグラスに注ぎ、席に戻ってPCを開き、溜めに溜めてしまったメールの返信作業に取り掛かる。

しかめ面でメールの返信をしている私の元にガパオライスとグリーンカレーが運ばれてきた。スプーンでひとくちすくい、口に運ぶと色んな味がする。おいしい。疲れていると複雑な味が食べたくなるのはなぜだろう。ガパオライスに添えられたライムを絞ると、爽やかなほろ苦さ。今日最も食べたい味はこれだった。

 

文・写真:佐々木里菜

Profile

佐々木里菜

佐々木里菜

写真家。1991年宮城県仙台市生まれ。スタジオ勤務や写真家の弟子を経て2019年より商業写真家として活動する傍ら、2020年より日記を中心とした文筆活動を細々と行う。主な著作に『ロイヤル日記』(2024年)、『料理未満日記』(2024年)、『近く訪れる彗星』(2025年)など。夜の散歩と植物と疲れている日にわざわざつくる料理が好き。

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