中郡暖菜の“かわいい”の哲学〜新しい女性の生き方を生み出す思考【vol.1 はじめに】

Index目次

女の子が生きやすい社会のために働く、という揺るぎないポリシー

――中郡さんが率いると、どの媒体も世の女性からの支持を集めます。編集者としてのポリシーや、自分が手がける本はこうありたいというこだわりはありますか?

「社会人になるタイミングで働かなくてもよかったんですよ。家事手伝いとか、そういう道も許される環境でした。それでも働くと決めたからには、絶対に自分が好きなこと、自分がやることに意味がある仕事だけをしようって思ったんです。スーパーでじゃがいもや玉ねぎを買うために仕事をするわけじゃないぞって。本を作るという特別な仕事をするならば、自分の生活やお金のためじゃなく、女の子のため、社会のためにならないと意味がないっていう気持ちが強いです。社会や女の子にとって必要で、読んでくれた人の記憶に残る本を作る。それが私のやるべき仕事であり、ポリシーです」

――18歳から25歳の女の子がいちばん自由でおもしろいと、以前におっしゃっています。その世代に向けた本を作り続けるという気持ちは、今も変わりませんか?

「それはたぶん、ずっと変わらないと思います。その世代以外、上にも下にも興味が持てないんです。一番戦っている世代だからかな。少し前にXで『20歳超えてツインテールしてフリル着ている女が、弱いわけない』みたいな投稿を見たんですよ。LARMEの世界観もそのとおりで(笑)。かわいいを貫いている子は、ぱっと見で弱そうって思われることもあるんですけど、実はめちゃくちゃ強い。私は強い女の子が好きだし、そういう子を支えたり応援したりするのが使命だと思っています」

――その世代の女の子たちは、なにと戦っているように見えますか?

「自分はこうでなければ、という妄想と言うか。女はこうじゃなきゃダメだとか、人として普通はこうだ、といった決めつけみたいなものと戦っていると思います。私はそういうのをなるべくなくして、女の子たちが選択肢を多く持てるようになってほしい。たとえばLARMEの最近の撮影で今この時代にあえて、モデルがタバコを吸っているシーンを撮りました。それは決して喫煙を推奨しているわけじゃなくて、なんでもかんでも“これはダメ”って封印していく流れが嫌なんですよね」

――中郡さんご自身のこれからの展望はどのように考えていますか?

「今いちばんやりたいのは、マンガです。LARMEの誌面で『いちごパック』という作品を連載しているのですが、マンガを作るのは本当に楽しい。なんと言っても、私は座ってあれこれ考えているだけですが、作家さんたちのおかげですごく素敵な作品が上がってくるのが最高ですね。私はもともとマンガが大好きなので、少女マンガと呼ばれるものに、長い間ヒット作がなかなか生まれていないことに危機感を持っているのも理由。ファッションやビューティーの要素が入った可愛いマンガの文化を作ることで、新しいジャンルを生み出せたらいいですよね。LARMEが好きな女の子が読んでいるような、イケてる若い女の子に刺さるレーベルみたいなものを始められたらいいなって思っています」

 

取材・文/高坂知里 撮影/堺 優史(MOUSTACHE) ヘアスタイリング/つるたまな

Profile

中郡暖菜

中郡暖菜

ファッション誌『LARME』編集長。『小悪魔ageha』編集部でキャリアをスタートし、『LARME』、『bis』と立て続けに創刊編集長を務める。その後、一度は離れていた『LARME』が休刊となる事態を受け、復刊させるために起業を決意。株式会社LARMEを設立し、現在は代表取締役と『LARME』の編集長を兼任する。

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