友情結婚も恋愛結婚も、大切なのは「話し合える関係性」

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あくまで「友情結婚」は、一つの選択肢

――今後、「カラーズ」ではどんな未来を描いていらっしゃいますか?

私は、「社会を変えたい」と思っているわけではないんです。ただ、これまで結婚したいと思っていても、性的マイノリティであることで結婚を諦めていたり、家族や子どもを持つことを諦めていたりした人たちに、「こういう選択肢もあるよ」と早い段階で知って欲しいと思っています。もちろん、それを選ぶか選ばないかは本人の自由です。何かを変えたいとか、友情結婚を勧めたいということでもなくて、「選択肢はこちらで用意しているので、あとは自分で決めてね」というスタンスですね。だから、入会してみて「自分には合わないな」と思えば辞めてもいいし、面談をしていて「あなたが望んでいるのは結婚じゃないかもしれませんね」と、こちらからお伝えすることもあります。大切なのは、その人自身が自分で選ぶことだと思っています。

――迷いながら来る方もいらっしゃいますか?

はい。結婚相談所に来ているからといって、全員が結婚したい気満々で来ているわけではないんです。「結婚したい気持ちはあるけど、2割くらい迷っている」という方もいれば、「本当に半々です」という方もいます。

以前ゲイの方で、これまで男性と性的な関係を持ったことがなく、「カラーズ」で活動を始めて女性と結婚を前提にきちんと向き合おうとしていた方がいました。すると、「このまま男性との関係を経験しないまま、女性と結婚していいのかな」と迷い始めたんです。活動することで初めて見えてくる葛藤もあるんですよね。その時は、「後悔しないように一度経験するのもありなのでは?」とお話しました。それで、「実際に遊んでみたらやっぱりなんか違いました」と一年後くらいに戻ってこられました。

――何でも自分で体験しないとわからないものですね。正解はないというか。

本当にそうなんです。結局、自分の中での正解を見つけるしかないですよね。「好き」という感情ひとつとっても、他の人と比べることはできないじゃないですか。相手を「好きで好きでたまらない!」という人もいれば、そこまで強い感情を持たない人もいらっしゃいます。西野カナさんの「会いたくて震える」という歌詞の気持ちがわかるかどうかとか(笑)、それも人それぞれですね。

――それは本当にそうですね。今後はどのように活動を広げていきたいですか?

相談所以外にも、アプリ「FrieMa+(フレマ)」を立ち上げました。こちらはセクシュアルマイノリティに限らず、ストレートの方でも利用できます。すべての人が、性的な関係を前提としない同性・異性のパートナーと出会えるマッチングコミュニティアプリです。

例えば、「もう恋愛には興味がないけれど、生涯のパートナーは欲しい」「誰かと一緒にいたいけれど、子どもが欲しいわけではないし、性的な関係も求めていない」という方もいますよね。

結婚相談所となると、複数の証明書を用意したり、入会金が必要だったりと、どうしてもハードルが高くなります。その点、フレマは無料で利用を始められて、本人確認のための身分証明書があれば、さまざまな機能を利用できます。もっと気軽に、「自分に合ったパートナーシップを探してみたい」という方にも使ってもらえたらと思っています。

――なるほど。気軽に利用できるのはいいですね。では最後に、「La Voix」にちなんで、中村さんの人生を変えた一言があれば、教えてください。

姉から言われた「自立しなさい」という言葉ですね。私は三姉妹の末っ子で、わりと裕福な家庭で育ったこともあって、親からは結構甘やかされていたんです。欲しいものを買ってもらったり、やりたいことをやらせてもらったり。一方で、上の姉たちは厳しく育てられていたので、そんな私を見て「この子、大丈夫かな」と思っていたのかもしれません(笑)。特に二番目の姉からは、高校生くらいの頃からずっと「自立しろ」と言われていました。「女だからって結婚して誰かに養ってもらおうと思うな」「親に頼るな、国に頼るな、男に頼るな」って。それをずっと言われていたので、「自立しなくては」という意識が自分の中に根づいたんだと思います。今振り返ると、この事業を始めた根底にも、姉から言われ続けた「自立しなさい」という言葉がある気がします。今は姉に感謝していますね。

 

取材・文/竹尾園美 撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)

Profile

中村光沙

中村光沙

株式会社COLORUS81代表取締役。1985年、徳島県生まれ。中学卒業後、両親とともにアメリカへ移住。ニューヨークのパーソンズ美術大学でデザインを学び、卒業後は現地のパタンナーとしてキャリアをスタート。2010年に帰国後、外資系企業に勤務。日本で働く中で、ニューヨークではLGBTQ当事者がオープンにごく自然に社会に溶け込んで生活しているのに対し、日本ではその姿が見えにくいという現実に衝撃を受ける。そんな折、「友情結婚」という言葉に出会う。2015年に友情結婚専門の結婚相談所「カラーズ」を設立。これまでに4000人以上の相談を受け、400組以上の成婚をサポート。ストレートも登録可能な性的関係のないパートナーと出会えるマッチングアプリ「フレマ」も展開している。著書に『恋愛・セックスはいらない新しい結婚の選択肢 友情結婚』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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