隠れていた才能を社会へ。株式会社Surpass代表・石原亮子が挑み続けた18年
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Webマガジン『La Voix(ラボワ)』はフランス語で「声」を意味し、女性のキャリアや生き方を応援していきます。
vol.2に登場していただくのは、2008年に株式会社Surpassを起業した石原亮子さん。女性が持つ能力を最大限に生かし、「営業×DX」の即戦力と、女性がさらに活躍する組織づくりの独自メソッドを企業に提供しています。日本社会から「女性活躍」という言葉がなくなる日を目指して走り続けた18年、常に新たな課題と向き合っています。
創業から18年、ついに「女性活躍」が社会の真ん中に
――石原さんが株式会社Surpassを起業されたきっかけを教えてください。
「私自身、20歳からずっと営業畑で生きてきたのですが、当時の日本社会は欧米諸国に比べて女性が活躍する場所が限られていると感じていたんです。どうしてもBtoCに行きがちといいますか。女性に備わっている細やかな能力や豊かな感受性を考えたら、もっといろんな選択肢があるべきだし、そのほうが社会がきっとよくなると思っていました。そういった考えのもと、私は起業を目標にあらゆる営業職にチャレンジし、いろんな大企業へ営業に行ったんです。すると当時は女性の営業が珍しかったということもあり、どこもウェルカムなうえ、『うちにも女性の営業チームを作りたい!』という声をたくさんいただきました。間違いなく女性の営業職には需要があると確信し、2008年に株式会社Surpassを創業しました。予想通り、女性営業チームのニーズは年々高まっています。10年前からは営業にDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り組み、こちらも成果を上げています」
――創業から18年、「女性活躍」という言葉の意味は変わってきたように感じますか?
「高市政権の誕生もあり、『女性活躍』という言葉がまさにいま日本の真ん中にあるように思います。女性リーダーの“見える化”がされた影響か、実はこの1年、弊社への問い合わせが倍増したんですよ」
――いま最も力を入れて取り組んでいることは何でしょうか?
「地方に住む女性の就業問題です。都市部との賃金・就業格差は変わらず顕著で、せっかくの原石も磨かれずにいる。そこで徳島市に女性の最年少市長が誕生したというニュースを聞きつけ、『地方の女性にデジタルスキルをつけて、徳島でも東京と同じぐらいの収入を稼げるようにしませんか?』と、ほぼ飛び込みでアタック。2021年、市内の女性を対象にDXスキルを磨いていただく『とくしまテックウーマン』を実施しました。正直、実施前は『女性でマーケティングやITをやりたい人などいないのでは?』という空気だったんです。でもフタを開けてみたら志願者が40人近く集まり、実際に研修に参加された方の中には短期間でぐんぐん成長された方も。原石が光出す瞬間を目の当たりにし、これは続けていく価値がある事業だと確信し、広島でも開催しました」
――そこから一気に全国へ?
「それが、そうはならなかったんです(笑)。南の方は少しずつ浸透していったのに、最も人口問題が深刻である東北地方になかなか進出できなくて。そこで課題先進都市となっている秋田県湯沢市にご協力いただき、今年の2月に『DIGITAL PATH YUZAWA』を開設しました。研修を終えた市内在住の女性たちとともに、ご両親の介護に備えて故郷・秋田にUターンした女性がセンター長として頑張ってくれています。地元女性、そしてご家族の事情を抱えた女性の就業機会にふたをしていくのは、どちらも国の社会問題です。その両方を解決できるオフィスを作り、デジタル人材の女性の育成ショールームとして見学できるようにもしているんです。こうして“見える化”することで皆さんに理解を深めてもらえますし、本人たちもとてもやりがいを感じてくれているようです」

女性の自立に必要なものは「営業力」と「健全な危機感」
――20~30代の女性が「自立したい」と思ったとき、まず手に入れるべき力は何だと思いますか?
「広義な意味での営業力。人事、マーケティング、広報への配属を希望される女性が多いのですが、実はどれもベースの力になるのは営業力なんです。コミュニケーション力とも言い換えられますね。実際、営業力のある人材を人事に配属する企業がとても増えています。人材不足の中、志願者に『どうかうちの会社を選んでね』と働きかけるのは、まさに営業力。どんな部署であれ、“営業力×スキル”は、今の時代とても重要になっています」
――営業力を日常の中で身につける方法はありますか?
「日常生活では営業されるほうが多いですよね(笑)。アパレルや化粧品など、最初は買う気じゃなかったのに、この店員さんと話していたらちょっと高いけど買っちゃった、みたいなことってあるじゃないですか。逆に、買う気満々だったのに接客してくれた店員さんがなんか微妙でやめちゃった……なんてことも。そんな時、なぜ自分は買いたくなったのか、なぜ買うのをやめたのかを振り返り、営業のプロセスと自分の心の動きを読み解いてみるといいかもしれません」
――まさに自分がサンプルになるわけですね。自然とコミュニケーション力もつきそうです。
「対人でなくても、コンビニで数十円のお菓子をついひとつ、ふたつと買ってしまうのはなぜなんだろうとか、無意識にやりがちなことを改めて意識してみることも大事ですね」
――地方在住や家庭の事情など、さまざまな理由から経済的な自立は難しいとされてきた女性ですが、それでもキャリアを伸ばしていく女性に共通点はありますか?
「健全な危機感を持っている方が多いです。世界中のあらゆる情報を掌の上で取れるようになってきているのに、なぜか人は自分のことについては視野が狭くなりがちなんです。自分のメタ認知を高めて、自分の現在地はどこなのか、どういうことができるのか、そういったことを冷静に考えてみる。AIの登場で、地方女性だけでなく、すべての人が働き方、そして生き方そのものの価値を問われる時代ですから、不安と向き合っているだけでは何も解決しません。怖くても問題を凝視する。そして目をつぶってでも一歩踏み出してみることは、年齢や場所とか問わず必要なんじゃないかな」
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石原亮子
株式会社Surpass代表取締役社長。2000年に大手生命保険会社へ入社し、トップセールスとして活躍後、2008年に株式会社Surpassを創業。当初から「女性の力で社会を動かす」という信念を貫き、誰もが可能性を発揮できる営業・DX教育・組織開発モデルを構築。2025年には「一般社団法人 官民連携女性活躍DXコンソーシアム」創立メンバーとして理事に就任。官民連携による女性のDX人材育成と地域活性化を推進している。
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