創作の源泉は読者の存在——献鹿狸太朗さん『超正気』刊行記念インタビュー
今年2月に新刊『超正気』を刊行した、献鹿狸太朗さん。今までバイオレンスな作風で人気を博してきた献鹿さんですが、今回は、著者初となる恋愛小説を発表しました。16歳でデビューして以降、漫画家「三ヶ嶋犬太朗」としても活躍する献鹿さんに、『超正気』の作品についてはもちろん、これまでのキャリアや、創作について大切にしていることなど、たっぷりとお話を伺いました。

『超正気』あらすじ
占い師である美冬は、月に一回「月間リーディング」という占い動画をSNSで配信しつつ、対面でも客を迎え入れている。ある日、宮前(本名は秋山)という男が美冬の占いにやって来た。不安そうなまなざしですべてを当てろと絡む宮前のことを、なぜか数日後も忘れられない美冬。宮前は宮前で、美冬の占いに安心感を覚え通うようになる。しかし宮前は、ある衝撃の秘密を抱えていて……。
初の恋愛ものは、今までで一番人間らしい小説に
――『超正気』刊行おめでとうございます。すごく引き込まれる作品で、ドキドキしながらあっという間に読み終えてしまいました。小説で恋愛ものを書かれるのは初めてになりますが、今までと異なる雰囲気の作品を書くにあたって、意識した点はありますか?
「今までは主人公が一人の話が多かったのですが、今回初めて二人の世界を書きました。個人的に、恋愛が他の登場人物によって邪魔される展開がちょっと苦手なので、そうならないように意識しました。あとは、二人が無意識のなかでやっている、駆け引きのような力関係に注目してほしいです」
――美冬と秋山はどんな風にキャラクターを作っていきましたか?
「とにかく書いてて楽しい、自分の好みの女性として美冬っていうキャラクターを作りました。そこから、美冬が好きになるのはどんな男性かな?って考えて、秋山ができあがりました。美冬って、簡単には男性を好きにならなそうなところがあるから、びっくりする感じの男性の方がいいかなって。ほかのキャラクターについても、たとえばイサラは、美冬っていう善良な占い師を書くために、悪い占い師を書きたかった。吉岡は、敵でも味方でもないキャラがいた方が、話が回しやすいと思って考えました。現実だとあんな明るくていい子いないですけどね(笑)」
――「超正気」というタイトルは、どのタイミングで思いついたのですか?
「もともと、タイトルのストックがいっぱいあって。内容を思いついていなくても、タイトルだけ考えて書き溜めていて、そこから引っぱってきました。タイトル先行で物語を考えています」

――今回の作品における推しポイントを教えてください。
「人間らしさ、でしょうか。今までは共感できないようなキャラクターをたくさん書いてきたんですけど、今回の二人は感情移入できるところも多い二人なんじゃないかなっていう。自分は割と俯瞰で書いていたんですけど(笑)。あとは、全体的に自由奔放に言葉を扱っているので、比喩表現とか、そういう言葉の表現自体を楽しんでもらえたらいいなって思います。トリックとかは出てこないけど、感情は結構乱高下するはずだから、退屈にはならないはずです!死体も上がりますし(笑)」
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