りな日記 vol.1

4月1日

雨なのに、長い時間をかけて散歩をした。途中で見かけた気になる花や植物の名前。歩きながら声に出してみる。もう咲いている藤の花、誰かの家の玄関で育つ山椒の苗。

途中、雨宿りがてら入ったダイナーで雲みたいに軽いパンケーキを食べながら過去の自分の日記を開く。たまたま開いたページがちょうど1年前の4月1日。仙台にいて、雨だった。

夜、晩御飯に盛り沢山のサラダを食べたのに眠る前にはお腹が空く。悩んだ末、冷蔵庫にあった頂き物の生蕎麦を茹でて食べる。卵を落として月見そば。深夜にこっそり食べる温かいものって、なんかいいよね。少し肌寒いけど確実に春の空気。春の風。春の夜。

4月2日

舗装されたてのアスファルトの上で桜の花びらが小さな渦を巻いていて、普段は目に見えないはずの風のかたちが可視化されている。と、駅に向かうバスに揺られながら思う。

目的地で仕事をし、帰りに本を読むためだけにマクドナルド。ハンバーガーに入っているレタスはしなびているけど不味くはない。不思議。レタスにも幸不幸があるのだろうか。マクドナルドのレタスは、どちらかといえば幸せ寄りなのだろうか。

4月3日

冷蔵庫にあったほうれん草とミニトマトを卵で適当に炒め、解凍した玄米ごはんの上にON。適当朝ごはん丼。味わいながらも急いで食べて家を出る。中目黒で友人と落ち合い桜を見て、坂を登って代官山でランチ。気付いたらいつも金曜日。

4月4日

ヨーグルト・バナナ・きなこ・黒ごまを朝ごはんに食べてゴリゴリ仕事をする。あっという間にお昼になるが全く仕事が終わらず家を出る暇がない。家の中にあるもので何かできないかと捻り出して作った梅とバターと削り節、そして少量の卵のスパゲッティが奇跡的に美味しかった。梅とバターって相性いいかも?

4月5日

昨日と同じ材料と同じ手順で同じ料理を作ってみたけど昨日の方が美味しかった。いつもそう。私の料理は一期一会。好きだった味にまたいつか会えるように、頑張り続けるしか道がない!

 

文・写真:佐々木里菜

Profile

佐々木里菜

佐々木里菜

写真家。1991年宮城県仙台市生まれ。スタジオ勤務や写真家の弟子を経て2019年より商業写真家として活動する傍ら、2020年より日記を中心とした文筆活動を細々と行う。主な著作に『ロイヤル日記』(2024年)、『料理未満日記』(2024年)、『近く訪れる彗星』(2025年)など。夜の散歩と植物と疲れている日にわざわざつくる料理が好き。

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