22歳、突然の社長就任!「やるしかない」と駆け抜けた5年間【前編】

Index目次

【72歳までの未来】これまでの50年をこれからの50年に紡いでいく

――この先どんな未来を描いていますか?展望を聞かせてください。

「まずは、父が築いてくれたこれまでの50年を、この先の50年へとしっかり繋いでいくことです。グループの100周年を見届けたい。そのとき、私は72歳なんですけども(笑)。

旗艦店舗のある白馬村をはじめ、私たちが拠点を置く場所はどこも素晴らしい自然環境に恵まれています。単に『街と共に成長する』というよりは、私たちのホテルがその街に欠かせない風景の一部となり、存在自体が街全体の価値を押し上げていけるような、そんな責任と誇りを持って経営を続けていきたいと考えています。年月をかけて醸成されたものにしか出せない魅力を、私たちの価値観で進化させていきます。

また、別のエリアへの進出や、今の形にとらわれない新しい宿泊施設の開発、さらには地域とグループ双方の価値を高める付帯事業など、挑戦したいことは尽きません。

私たちが掲げるビジョンは、『お客様の心を満たし、記憶に残るホテルを創造する。』というものです。ここに帰ってくれば元気になれる、と思っていただける唯一無二の場所を目指して、これからもスタッフと一緒に、私たちらしく元気に走り続けます!」

――最後に、幼少期から身近にあったホテル業界の未来は、これからどんな風になってほしいと期待されますか?

「近年、観光業においては『インバウンド』という言葉が溢れていますが、実は私はあまりこの言葉が好きではありません。実態よりも表面的な印象だけが注目されるバズワード(流行り言葉)のように聞こえてしまうからです。

それよりも、単に“世界がぐっと近くなった”だけだと思うんです。航空運賃が下がり、海外から日本の地方都市へダイレクトに飛べる便も増えました。翻訳アプリがあれば言葉の不安は消え、クレジットカードやタッチ決済の普及で支払いのストレスもなくなっています。こうしたさまざまな技術の進化が、国境というハードルをこれまでにないほど低くしてくれました。

だからこそ、これからの日本の宿泊業界に期待するのは、もっとフラットで境界線のない“おもてなしの姿勢”です。そして、日本の良さを伝えるのは、必ずしも日本人である必要はありません。私たちのホテルでも多様な国籍のスタッフが活躍していますが、『この地域の魅力を届けたい』という熱意さえあれば、国籍なんか関係ありませんよね。むしろ、外からの視点があるからこそ気づける日本の新しい価値もたくさんあるはずです。

業界全体が外国人観光客と特別視して構えるのではなく、世界中から集まる多様な人たちを、多様なスタッフが自然に迎える。そんな当たり前の景色が、これからの日本の観光業をさらに面白くしてくれると信じています。

日本にしかない唯一無二の価値と、テクノロジーや社会の様々な進化が混ざり合っていく。そんなこれからの業界の姿が、今から本当に楽しみです」

Kaname Inn Tatemachi

撮影/土岡虎太郎 取材・文/森谷香菜

Profile

富原玲奈

富原玲奈

1998年生まれ、28歳。慶應義塾大学総合政策学部卒業。長野県白馬村出身。2021年大学卒業後すぐに家業であるリゾートホテルの社長に就任し、今年で6年目をむかえる。現在は、地元である長野県白馬村と新潟県湯沢町でリゾートホテル、石川県金沢市で宿泊特化型ホテル、長野県白馬村で飲食店など、5つの施設や店舗を経営している。

BookShelf

おすすめの書籍

ブーズたち鳥たちわたしたち

ブーズたち鳥たちわたしたち

Amazon

楽天ブックス

紀伊國屋書店

セブンネットショッピング

Related

関連記事

Recommend Movies

おすすめの動画

Recommend

おすすめの記事

Tags

おすすめのタグ